カルデロン「驚異の魔術師」 El mágico prodigioso
「驚異の魔術師って、魔法の話ですか」
「うん」
「どんな」
「マギー司郎もびっくりだ」
「全然すごそうに聞こえないんですけど」
「そんなことより、カニだ」
「は?」
「かなしい」
「なんですか急に」
「ほじくって食べるだろう、カニ」
「ええ」
「細い棒で」
「ほじくりますけど」
「あの棒、なんていうんだ」
「魔法となんの関係があるんですか」
「食べても味がしないんだよ、気になって」
「そんなことでいちいち」
「かなしいじゃないか」
「今度ごちそうしてください」