抑鬱亭日乘

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2016年11月30日(水)

晝餐

曇りて寒し。K氏と會食の約あり。乘合自働車と地下鐵道を乘繼ぎて名驛に出づ。十時十二分發新幹線のぞみ號にて名古屋驛停車塲を發す。車中執筆少々、音樂を聽く中にいつか東京驛に着す。山手線に乘換へ有樂町に出づれば日はまさに亭午なり。地下鐵道日比谷線に乘り六本木に出で、辻自働車を倩ひて西麻布の支那料理屋に赴く。K氏晝餐を馳走せらる。先月オスロのオペラハウスにて上演せられしSimulacrum/シミュレイクラムの話またワーグナーの歌劇歌舞伎バレエなど話頭轉々として興趣盡ず。二時半西麻布四辻に別れ、步みて六本木驛より日比谷線に乘り日比谷に出で、シャンテのスターバックスに小憩の後有樂町驛より山手線にて東京驛に出づ。三時半新大阪行新幹線ひかり號に乘る。名古屋驛より地下鐵道と乘合自働車を乘繼ぎて家にかへれば六時なり。

2016年11月29日(火)

倦怠

空よく晴れて風しづかなり。倦怠感甚し。午下いつもの溫泉に徃き露天風呂に浴す。晡時主治醫を訪ひ藥を請ふ。

2016年11月28日(月)

百舌

空碧く澄みわたりたれど北風吹き狂ひて落葉舞ふ。午後乘合自働車に乘り理髮舖に徃く。欅の梢に百舌らしき聲を聞く。桂小南の田樂食ひ胴亂の幸助貸屋怪談西の旅を聽く。

2016年11月27日(日)

不自然

陰雨冥々。BS-TBS落語硏究會に春風亭一之輔が加賀の千代、柳家花綠の眞二つを聽く。山田洋次が創作したる眞二つは魚切丸といふ薙刀の名刀を杖にしたしとて百姓より買はむとする甚兵衞が杖もつかずに成田の不動を急ぎ足に往復する設定不自然なり。NHK總合演藝圖鑑にナイツの漫才と神田陽子が南部坂雪の別れを聽く。艱難辛苦を乘越えてようこそお集まり下さいました、立てば芍藥すわれば牡丹步く姿は百合の花、講談界のマドンナ神田陽子でございますの挨拶いつもながら樂し。Eテレ日本の話藝に三遊亭金馬の淀五郎を聽く。

2016年11月26日(土)

落語五席

快晴の空雲翳なし。BS-TBS落語硏究會に林家正藏の雛鍔、柳家花綠の二階ぞめきを聽く。正藏はお雛樣の刀の鍔と云ふべきところをお雛樣の鍔と云ひ、手習ひの道具と云ふべきところを單に道具とのみ云ひにけり。言葉の疎漏を憾まずを得ず。花綠はひとり浮かれて騷ぐ若旦那の遊びぶりを好演したり。NHKラヂオ第一キャンパス寄席にぴろきの漫談を聽く。フィデル・カストロ歿。行年九十。三重テレビ淺草お茶の間寄席に三遊亭白鳥の座席なき戰ひ、隅田川馬石のたらちね、入船亭扇辰が悋氣の獨樂を聽く。白鳥黑赤二色を組合はせし着物を着て登塲し、噺は着物の派手なるに負けず劣らず。馬石は言葉を大切に扱ひ、間の取り方も上手なり。扇辰は旦那女房妾定吉を巧みに演じ分け聽衆大に笑ひたり。日の晡ならむとする頃より空曇り、夜に入りて雨ふりだしぬ。

2016年11月25日(金)

粗忽の本領

半陰半晴。寒氣甚しからず。午後S子とN子に食料品を送らむとてヤマト運輸に赴きクロネコメンバーズカードに入金せむと囊中をあらためるに肝腎のカードを持參し忘れ粗忽者の本領を發揮す。とりあへず荷物を置きてカードを取りに家に戾る。月末と週末重なりたるが故にや市役所前の道交通澀滯す。二往復に一時間を費やしぬ。晡時ことぶきの湯に徃きシルク風呂に不感溫度浴をなす。

2016年11月24日(木)

Hable con ella

曇りて寒氣甚し。東京は初雪降りたりといふ。尾州は曉明小雨降りしのみ。この冬初めて襟卷をまとふ。咖啡所コメダに朝飯を喫す。店内改裝、カウンター席すべて撤去されてボックス席のみとなる。喫煙席は帳塲右手奧に硝子張の小さなる部屋となりぬ。紫煙を好む余らはます/\肩身狹くなるなり。思ふに是迄は喫煙席と禁煙席に隔たりなく、嫌煙家は居心地惡く感じゐたりしなるべし。新聞紙の報道を讀むに四年後の東京五輪に向けて飮食店また公共の建物に於て分煙を徹底する動きある由なり。九時前出勤。先週に引續きペドロ・アルモドバル監督の活動寫眞トーク・トゥ・ハー後半を鑑賞す。アルモドバルの脚本ホセ・サルセドの編輯秀逸。ハビエル・アギレサローベの撮影美し。ハビエル・カマラ、レオノール・ワトリング、ダリオ・グランディネッティ、ロサリオ・フローレス、ジェラルディン・チャップリン、マリオラ・フエンテス、ローラ・ドゥエニャス、チュス・ランプレアベなど俳優みな佳し。午下家にかへる。毎日新聞によるに三遊亭小圓歌來年十一月二代目立花家橘之助を襲名するといふ。

2016年11月23日(水)

白蛇傳

晴れて寒し。勤勞感謝の日。Amazonプライムに藪下康司と大川博の漫畫映畫白蛇傳を看る。色の美しさ繪の躍動感いま看ても新鮮なり。矢代静一が考案せし臺詞に諧謔あり。森繁久彌と宮城まり子七色の聲を使ひ分ける。

2016年11月22日(火)

十年一日

陰後に晴。西北の風强けれど寒からず。冬立ちてより風却つて生暖かし。恠しむべし。午後いつもの溫泉に徃き露天風呂に浴す。歸途ロイヤルホームセンターに立寄りセキセイ鸚哥の餌を購ふ。注連飾り鏡餠など早くも店頭に竝びたり。BS日テレ笑點火曜なつかし版に柳家紫文の三味線漫談を聽く。十年一日の如く長谷川平藏物なれど間合絕妙なれば何度聽きても樂し。

2016年11月21日(月)

大相撲の手拍子

雨もよひの空どんよりと曇りて暗きこと終日黃昏の如し。倦怠感甚しく何事をもなす能はず。悲しむべきなり。NHKラヂオ第一に大相撲九州塲所中繼を聽く。福岡生れの松鳳山が土俵に上がるや贔屓客手拍子を打ち醜名を連呼す。藤井康生アナウンサア大相撲には手拍子はそぐはないと思ふのですがと苦言を呈す。余も同感なり。BS11イレブン寄席に三遊亭萬橘の出來心と春風亭百榮がホームランの約束を聽く。滿喫は持ち時間わづかに十二分なれば花色木綿の條は省畧しサゲに工夫を凝らしたり。百榮は逆轉の發想愉快なり。

2016年11月20日(日)

文藏襲名披露

薄晴。連日暖なること春の如し。NHK總合演藝圖鑑に桂小南治のん廻しを聽く。余は小南治の勿體ぶる語り口につひぞ親しみを覺えざりしがこの噺に限りては存外樂しめたり。Eテレ日本の話藝に笑福亭松枝が胴亂の幸助を聽く。堅物の石頭ぶり稍演出不足なるを憾む。中京テレビ笑點に三遊亭好樂王樂遙の親子三代リレー落語親子酒を聽く。閑古鳥が鳴く寄席の席亭が息子と酒を斷つ話に改作したり。サゲに工夫あり。三重テレビ淺草お茶の間寄席に春風亭一之輔の手紙無筆、橘家文藏の試し酒を聽く。三代目文藏の襲名披露興行なれば一之輔は小噺風のネタをさらりと語りて退きたり。

2016年11月19日(土)

一世一代

陰雨蕭〻たり。NHKラヂオ第一眞打競演におぼんこぼんの漫才、柳家小菊の粹曲、三遊亭歌之介の南國情話を聽く。歌之介の漫談は一世一代の面白さなり。開口一番戰後最大の拍手を頂きまして本當に有難うございます、初めて會ふ方もいらつしやると思ひます、かういつた顏です……さぞお力落としの方も多いことかとは思ひますが、これも何かのご緣と諦めて、最後までひとつ齒を食ひしばつて宜しくおつき合ひ下さいと挨拶するが習はしなり。これに匹敵する挨拶は三遊亭小遊三が日露戰爭以來の大拍手を有難うございますなり。午にならむとする頃陋屋ゆらり/\と橫に搖れたり。震度二。震源地和歌山縣南部。多和田葉子氏クライスト賞を受賞す。夕餉に餺飥の味噌煮込みを食す。三重テレビ淺草お茶の間寄席に柳家花綠の妾馬を聽く。甲高き聲をあげる時屢祖父なりし五代目柳家小さんに髣髴たり。血は爭へぬものなり。

2016年11月18日(金)

ゼラニウム

薄く曇りて風なく寒からず。Eテレえほん寄席に柳亭左龍の豆やを聽く。午後慈君を車に乘せ花卉店アイビーフラワーズに送る。いつもの溫泉に徃き露天風呂に浴す。慈君赤きゼラニウムの花を購ひて歸らる。日脚頓に短くなり五時に至らずして昏黑となる。

2016年11月17日(木)

波亂の映畫鑑賞會

薄く曇りて風なく寒氣稍ゆるやかなり。コメダは店内改裝のため休業なれば草蘆裏なる支留比亞に徃き咖啡を喫す。客みな七十歲以上の老人ばかりなり。九時出勤。けふはペドロ・アルモドバル監督の活動寫眞トーク・トゥ・ハーを鑑賞する日なり。かねて豫約し置きたる八四三敎室に赴くにスクリーンなく大きなる液晶テレビあるのみ。AVラックの鍵を開けて中を覗くにDVD再生機見當らず。敎務課に問合せるに職員携帶用再生機を持來りてテレビに接續せしが何故にや入力切替を促す初期設定畫面が表示さるゝのみにて映像うつらず。再生機の出力を認識せざるが如し。已むを得ずいつもの八二五敎室に移動し備付けのDVDプレーヤーにディスクを入れてみるにこれまた出力認識されず。職員また來りて携帶用再生機を接續せしかどビデオ映像を認識せず。職員携帶電話を用ひて別の職員に電話をかけ指示を仰ぎつゝあれこれ操作するも埒明かず。職員廊下の向ひなる八二二敎室に赴きて接續するや漸く映像うつりたり。學生諸氏を八二二敎室に移動せしめ映畫の冒頭より三十分を鑑賞す。二限は八二八敎室にて鑑賞し得たり。

2016年11月16日(水)

団しん也

空澄みわたりて寒風凜冽なり。BS12ミッドナイト寄席第四囘放送を見る。春風亭昇々の鈴ヶ森は丑三つ時に夜陰に乘じて仕事する追剝ぎの話なるに親分も子分も大聲を出す描寫不自然なり。サゲもまた中途半端なるを憾む。談志最後の弟子なる立川談吉の新作落語ピッケルは超現實主義的なる小品なり。口跡よし。笑福亭べ瓶のいらち俥は疾走感に溢れる高座なり。BS-TBS昭和演藝同窓會大御所大集合を看る。団しん也の物眞似藝を久振りにて聽きたり。東八郎の眞似を披露せし後ルイ・アームストロング藤山一郎前川清の聲音にてWhat A Wonderful Worldを歌ふ。エルヴィス・プレスリーと田中角榮、フランク永井も眞似たり。七十二歲を迎へて藝聊も衰へず。

2016年11月15日(火)

腦内再生

朝目覺めて心地爽かならず溜息つきたり。寢床より起出づるにも難儀せり。秋の初め頃より倦怠感甚しく日課のインターバル速步も殆行へず。本年は四月末より五月初めにかけて少しく步きし後は氣力消磨して長續きせず、十月に入りて氣力を振り絞りて步みしも四五日を經てまた頓挫しぬ。倦怠感は早朝より午にかけて最も甚し。曇りて風なく暖氣春の如し。午後カーラヂオのNHK-FM歌謠スクランブルに西田佐知子が初めての街でを聽きつゝいつもの溫泉に赴き露天風呂に浴す。余は溫泉に浸かるあひだ頭の中にて好む音樂を再生して時を過ごすなり。この日は瑞典スウェーデンの五人組無伴奏合唱團リアル・グループの歌曲を腦内再生して瞬く中に三十五分は經ちたり。歸途主治醫を訪ひ藥を乞ふ。西北の風吹き出でしが寒からず。門前欅の落葉狼籍たり。雲間に宵の明星輝き出づるを見る。

2016年11月14日(月)

面目躍如

陰雨蕭〻。けふもあたゝかし。終日家に在り。BS日テレ笑點月曜なつかし版に玉川スミの三味線漫談を聽く。客に毒づきても不快なる思ひをなさゞるは人德と云ふべし。BS11イレブン寄席を見る。隅田川馬石の鮑のしは言語の不自由なる甚兵衞の狼狽を長々と描寫するあまりサゲに至らざりしを憾む。立川志らく長短を語る。未確認飛行物體の定義に始まりウディ・アレンかウッディ・アレンか、或はロビン・ウィリアムスかロビン・ウィリアムズかなど迷ひに迷ふ脫線の數々志らくの面目躍如たり。

2016年11月13日(日)

演藝三昧

天氣好晴。風なくあたゝかなり。NHK總合演藝圖鑑にオール阪神巨人の漫才ヘルパーさん氣をつけて、春風亭柳好の牛ほめを聽く。アットエフエムサンデー・ソングブックに六十年代亞米利加の歌曲を聽く。去月下旬物故せしボビー・ヴィーのThe Night Has A Thousand EyesCharmsかゝりたり。他にナンシー・シナトラのLike I Do、エディー・ホッジスのMug Mates、カスケーズのFor Your Sweet Loveなど流れぬ。Eテレ日本の話藝に昔昔亭桃太郎の春雨宿を聽く。NHKラヂオ第一上方演藝會にアインシュタインと大木こだまひびきの漫才を聽く。

2016年11月12日(土)

鬱々

快晴の空拭ふが如し。NHKラヂオ第一眞打競演にチャーリーカンパニーのコントもったいない、松鶴家千とせの漫談、三遊亭兼好の締め込みを聽く。チャーリーカンパニーは藝の安定感盤石にて卽興の洒落も巧みなり。松鶴家千とせは味はひ更に增して第二の黃金期を迎へたり。三遊亭兼好はとぼけた明るさに口調頗よく聽衆大に笑ひたり。心氣鬱々何事をもなすこと能はず。被を擁して臥し志ん生の小噺十八番替り目たがや鰻の幇間を聽く。

2016年11月11日(金)

無爲

夜中降りし雨は朝早く霽れぬ。乍陰乍晴。暖かい。NHK總合落語THE MOVIEに春風亭一之輔の時そばと三遊亭兼好の三年目を聽く。Eテレえほん寄席に桂南喬の元犬を聽く。元犬は口入れ屋の主人が若者の正體が犬なるを承知して隱居に紹介する設定に變へたれば噺の辻褄合はず。レナード・コーエンとフランシスコ・ニエバの訃報あり。

2016年11月10日(木)

Love trumps hate.

雨もよひの空暗し。日〻寒氣加はる。咖啡所コメダに朝飯を喫す。入口の扉に貼紙あり。來週月曜より金曜まで店内改裝のため臨時休業し土曜新裝開店する由なり。九時前出勤。再歸代名詞の用法を練習す。來週は西班牙の映畫を鑑賞しませうと云ふや學生諸氏わあと歡聲を上げたり。一時過家にかへる。書齋の寒さ堪難くなりしかば納戶よりオイルヒーターを出して設置す。亞米利加より加奈陀カナダに移住せむとする市民急增し、入國管理局が運營する網站に問合せ殺到す。また濠太剌利オーストラリア新西蘭ニュージーランドの入國管理當局にも問合せ引きも切らずといふ。昨夜錄畫し置きたるBS-TBS昭和演藝同窓會大御所大集合を見る。玉川カルテットのリーダーいつしか見知らぬ人に變りぬ。山田邦子玉川カルテットと共にアンアン小唄を歌ふ。大瀧詠一が作曲し昭和五十七年に發賣されし曲なり。當時は山田とカルテット四人別々にスタジオに入りて錄音したりしを以て、五人揃ひて歌ふは初めてなりといふ。レディー・ガヽ紐育のトランプ・タワー前に來りてLove trumps hate.(愛は憎しみに勝る)と大書したる看板を揭ぐ。

2016年11月8日(火)

芋の子を洗ふ

曇りて暗し。午後より雨ふる。本日ことぶきの湯設備點檢のため休業なれば久振りにてござらっせ溫泉に徃くに駐車塲三箇所いづれも滿車なり。十分ほどして幸に車を停め得たり。何事にやと玄關に赴くに立札あり、本日シルバーデイと銘打ち六十五歲以上の男女入浴料半額の三百五十圓なりといふ。浴槽混雜芋を洗ふが如し。湯浴み客の話に每月第二火曜日は老人割引の日なる由なり。夜に入るも雨やまず。五代目柳家小さんの眞田小僧を聽く。

2016年11月7日(月)

アサリ君好調

立冬。天氣牢晴。午後理髮舖に徃く。先客七人。文春文庫の高島俊男著お言葉ですが…③ 明治タレント敎授を再讀して順番を待つ。五代目月の家圓鏡の幇間腹湯屋番を聽く。セキセイ鸚哥のアサリ君この頃體調頗良好なり。生來黑ずみし脚も少しく桃色になり下痢もせず。余が朝食のレタスや胡瓜、ハム、麵麭を嬉々として啄む。余が眉毛のまはりを嘴にて優しく突きて飽きることなし。

2016年11月6日(日)

志らくの寢床

晴れわたりて雲なし。北風强けれど寒氣やゝ寬なり。NHK總合綾小路きみまろの演藝圖鑑を看る。林家正樂の紙切り挨拶代りに相合傘を切りて後、客の注文に應じて花嫁と秋祭を切る。秋祭は神輿なり。橘家文藏手紙無筆をさらりと語る。午後いつもの溫泉に徃き露天風呂に浴す。湯溫熱からずぬるからず不感溫度浴をなし得たり。家にかへりてEテレ日本の話藝に立川志らくの寢床を聽く。シャイニングのジャック・ニコルソンや畫家ムンクを臺詞に登塲せしめ、主人が義太夫を語りつゞけること七時間三十五分に及ぶ。高座を終へし後志らく無人の看客席にすわりて師匠立川談志の思ひ出を語る。談志は早くから志らくの寢床を評價し、志らくが語り始めるや樂屋よりわざ/\舞臺袖に赴きて聽きたりしといふ。然れど後年に及びてお前の寢床はイリュージョンが足りないと不滿を述べ、志らくは師匠の云はむとする所を忖度し、破天荒なるギャグをこれでもかと盛込みて現在の噺を仕上げたる由なり。NHKラヂオ第一上方演藝會に靑空と酒井くにおとおるの漫才を聽く。堀越千秋集大成畫集刊行企畫に贊同し支援金を送る。七日頃の月あきらかなり。

2016年11月5日(土)

タブレット純

小春の好天氣打ちつゞきぬ。NHKラヂオ第一眞打競演にコント山口君と竹田君がコント義理の親子の不義理、エド山口のギター漫談、三遊亭圓丈の金さん銀さんを聽く。Eテレ日本の話藝に桃川鶴女の講談太閤と曾呂利を聽く。慈君自製のスイートパンプキンを食す。美味なり。BS朝日お笑ひ演藝館にタブレット純の漫談を聽く。女と見紛ふ長髮と衣裳に囁くが如き語り口も女を思はしむるに、敏いとうとハッピー&ブルーのよせばいゝのにを歌ひ始めるや嘗てムード歌謠の歌手なりしも宜なるかなと思はしむる朗々たる聲にて自虐ネタ冱える。いかにもか弱き外見と張りのある歌聲の懸隔の面白さ言はむ方なし。

2016年11月4日(金)

五分に纏める難しさ

空晴渡りて雲翳なし。NHK總合落語THE MOVIEに柳家三三の轉失氣と林家たい平が粗忽の釘を聽く。轉失氣のサゲは奈良平安時代なり。Eテレえほん寄席に柳家權太樓の蜘蛛駕籠を聽く。サゲには至らず。視聽者はこの噺が何故に蜘蛛駕籠と呼ばるゝやを知り得ず。午後ことぶきの湯露天風呂に浴す。晡時T氏來訪。釣果の太刀魚を惠まる。Amazonプライムにロバート・ゼメキス監督の活動寫眞フライトを看る。凡作なり。

2016年11月3日(木)

The Dreamers

晴れたる空に白雲多し。朔風吹きすさみて寒し。文化の日にて授業は休みなり。NHK總合落語THE MOVIEに柳家三三がお菊の皿と春風亭一朝の庖丁を聽く。Amazonプライムにベルナルド・ベルトルッチ監督の活動寫眞ドリーマーズを看る。五月革命の巴里に性の理想鄉を生きる雙子の師弟と男友達の物語なり。ミロのヴィーナスに扮せしエヴァ・グリーンの肢體に思はず息を呑みたり。終日家にあり。

2016年11月2日(水)

毒舌

曇天。日〻寒氣加はる。五街道雲助紫綬襃章を受章す。昨夜錄畫し置きたるBS日テレ笑點火曜なつかし版に海原やすよともこの漫才を聽く。平成十八年七月十六日放送の囘なり。ともこの自虐的毒舌冱える。亞米利加ツイッター社の發表によるに日本國内の月間利用者數四千萬人を越えたりといふ。今後も百四十字の制限を維持せられたし。三遊亭小遊三の汲みたて、柳家喬太郎の猫屛風を聽く。BS日テレ笑點特大號に林家あずみの三味線漫談を聽く。滿面に笑みをたゝへて毒づく隨談樂し。

2016年11月1日(火)

堀越千秋

舊十月二日。昨夜は床に就きても眠ること能はず、睡眠劑エバミール一ミリグラムを五錠飮みてやうやく睡るを得たり。朝の中薄く晴れしが厚き雲次第に空を蔽ふ。晡時ことぶきの湯に徃く。受付にて月初恆例の抽籤會あり。余は二等を當てゝ入浴券を獲たり。去る金曜日にもスタンプ三十個貯まりて入浴券を獲しばかりなり。露天風呂に浴しリアル・グループの樂曲を鼻歌にうたへば小一時間は乍ち經ちぬ。歸途主治醫を訪ひ藥を請ふ。夕空いつか隈なく晴渡りぬ。朝日新聞に堀越千秋氏の訃報あり。目を疑ふ。余が堀越氏の知遇を得たりしは平成十九年十一月末の小島章司フラメンコ舞踊團戰下の詩人たち公演の時なり。堀越氏は舞臺美術と緞帳の意匠を手がけられたり。十二月朔には天皇皇后兩陛下のご高覽を賜り、余は解說者として皇后陛下に仕へたり。終演後ル テアトル銀座鄰なるホテル西洋銀座の一室にて兩陛下と歡談したりき。堀越氏はその後も小島章司フラメンコ舞踊團のラ・セレスティーナの舞臺美術を擔當せられけり。豪放磊落なる人柄にて笑顏を絕やさぬ人なりき。享年六十七。