抑鬱亭日乘

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2011年6月30日(木)

惡夢に襲はる。自分の怒聲におどろき眠より寤む。學舍に赴かむとて車を走らすに、國道一五五號線路傍の寒暑計早くも攝氏三十三度を示す。時計を見るに八時五十四分なり。早朝にしてかくの如き炎熱はついぞ記憶になし。一限の男子學生氣分俄に惡しくなりて授業を中途退席せり。熱中症なるべし。あまりに氣の毒なれば、日本の大學も十月始業とし、酷熱の七月より九月までは休暇とするがよろしかるべし、明治時代の入學時期は九月なりき、節電にも效果あるべしと説く。本年始めて蟬の鳴きいづるを聞く。一時半歸家。苦熱何事をもなし得ず。

2011年6月29日(水)

AutoHotkey vs. AutoIt

晴れて炎熱堪ふべからず。名古屋攝氏三十五度六分に達す。午睡わづかに苦熱を㤀る。バスク地方サン・セバスティアン市(ドノスティ)二〇一六年歐州文化首都に選定せらる。AutoHotkey より AutoIt に乘換へむとてスクリプトを閲するに、鍵盤の設定を變更する方法頗面倒なるを知り、AutoIt は諦め AutoHotkey を使ひ續けることゝす。坂東玉三郎京都賞受賞。

2011年6月28日(火)

熱さまひんやり首もとベルト

薄く晴れて風なく溽暑甚し。母上を伴ひホームセンターに赴き、災害時飮料水保存用ポリタンク二個及臺車を購ふ。臺車千九百八十圓の廉價驚くの外なし。中國製雨傘に至りては一本二百九十八圓なり。工場勞働者の賃金雀の涙ほどなるべし。熊川哲也オーチャードホール藝術監督就任。パパ・タラフマラ解散。小林製藥熱さまひんやり首もとベルトを購ふ。首に卷けば忽汗とまりて納涼によし。東京電力株主總會あり、原發撤退の議案否決せらる。

2011年6月27日(月)

モンセラット少年聖歌隊

惡夢を見る。薄く曇りて暑し。三十七度臺の微熱依然として下がらず。發熱して早や二箇月は經ちぬ。余の留守中慈君が録畫せられし衞星放送の記録番組 Amazing Voice 驚異の歌聲モンセラット少年聖歌隊を見る。歐羅巴最古の聖歌隊なるとは始めて之を知りたり。少年の唄ふ鳥の歌頗佳し。雜誌連載の草稾をつくらむとて茟を把れども感興來らず。

2011年6月26日(日)

字幕完成

曇天。睡眠劑エバミール二錠服して熟睡するを得たり。公園内散策するに印度人演出家ゴーパル・ヴェヌ氏の來るに逢ふ。余は昨日の古典舞踊劇に深き感銘を受けしかば思はず聲をかけ、Yesterday I saw your performance. It was just wonderful. Thank you very much for such an amazing performance. と拙き英語にて謝辭を陳ぶ。鶯不如歸の聲耳を打つ。カチカチ山にて飰す。食後卓子に筆記型電腦を開きて字幕作成。最後の臺詞にさしかゝりし時オマール・ポラス氏朝餉を食さむとて來る。テラスに出でゝ歡語。東京外國語大學學園祭の西班牙語劇の話をするに興味津々として聞き入らる。カルデロン、ロペ・デ・ベガ、セルバンテスの戲曲につきて款談、氏はかのコメディー・フランセーズにてロペ・デ・ベガ作ペリバーニェスとオカーニャの騎士團長を演出したる經歴の持主なり。日曜の再會を約して別る。十一時字幕完成。字幕は最大三行、各行十文字以内の制約あり。上演臺本の臺詞とは全く異なる作業にて、文筆家としての伎倆の見せ所なり。さぞ苦心慘憺するものと覺悟せしに、昨夜稽古を見學して興を催し、妙案次々に浮びて一氣呵成に仕上るを得たり。直後K氏食堂に來る。完成せしばかりの字幕を一讀し、わかりやすいなあ、固有名詞に全く違和感がない、リズムがいゝですね、直す必要ありません、このまゝ使へますと感服せらる。我ながらよき出來映えにて余も大に滿足せり。今日は初更に通し稽古を行ふ豫定なりしが、昨夜の稽古あまりにも過酷なりしかば本日は休養日とし、俳優諸子は自主的に歌の練習のみ行ふことゝなす。余は早くも字幕をつくり訖りしかば御用濟みとなり、旅裝をとゞのふ。K氏車を運轉して靜岡驛に余を送らる。十二時過新幹線ひかり號にて名古屋に向ふ。二時歸家。夕食後微熱三十七度一分。本年始めて書斎と寢室の空調を除しつ運轉せしむ。

2011年6月25日(土)

インド古典舞踊と天守物語

九時半起出づ。森の木々靄に包まれ夢の如し。鶯の囀る聲けたゝましきほどなり。カチカチ山にバイキング料理の朝餉をなし、別莊にかへりて字幕をつくる。一息に三分の一仕上げるを得たり。午にならむとする頃ふたゝびカチカチ山に行き晝餉を食し、楕円堂に赴く。靜岡縣藝術センター制作者N氏に逢ふ。また文藝部O氏の來るに逢ふ。八年ぶりの再會なり。カミュ、モリエール、カルデロン、セルバンテスのことなど話す。十二時半楕圓堂にてインド古典舞踊ナンギャール・クートゥー、クリシュナ神山を持ち上げ傘と成すを見る。生演奏による太鼓の律動力強く驚くの他なし。カピラ・ヴェヌ氏の踊りも人をしてたゞ瞠目せしむばかり。終演後の座談會は聞かず、カチカチ山に筆記型電腦を廣げ字幕づくり餘事なし。夕刻BOXシアターに赴き稽古を見學しながら字幕作成す。途中俳優四氏と臺詞の意味また言囘しなどにつきて話合ひたり。七時カチカチ山にてバイキングの夕餉を食す。文藝部Y氏驅來りて挨拶せらる。し、七時半野外劇塲有度にて天守物語を觀る。余がこの芝居を初めて見たりしは平成十一年二月津市總合文化センターに於てなり。美加理の存在感壓倒的なり。幕切にはいはく言ひ難き幸福感を覺え暗涙を催したり。散策路に出づるにいつか霧雨降りだし、宛ら細氷の如し。街路燈の光を受け煌めきて意外なる佳景を示す。通譯石川氏アレッサンドロと肩を竝べて歩む。BOXシアターに戻り通し稽古を見學しつゝ字幕をつくる。殘り僅一頁となりぬ。十一時過解散。今夜も睡眠劑を服す。

2011年6月24日(金)

ふじのくに

蚤起。毎年恆例健康診斷の日なれば昨夜より斷食す。母上を伴ひ健康福祉センターに赴く。今年は何故か人尠し。夜靜岡にて大仕事あれば便祕を虞れて胃膓レントゲン撮影は辭退せり。眼底檢査、心電圖、採血、血壓測定、問診、胸部レントゲン撮影を終れば十一時過なり。家にかへるに藝術劇塲S氏より最新上演臺本屆きゐたり。假眠一時間ばかり。四時半新幹線ひかり號にて名古屋驛停車塲を發す。五時半靜岡驛着。S氏改札口にて余を迎ふ。氏の運轉する車にて靜岡藝術公園に徃く。濕氣を含みし森の空氣胸に沁む。食堂カチカチ山に立寄りて後別莊に荷を置き、休む遑もなくBOXシアター稽古場に直行す。時恰もオマール・ポラス氏俳優四氏稽古の最中なりしが、一時中斷してポラス氏余を出演者に紹介せらる。此日はじめて木内琴子貴島豪たきいみき渡辺敬彦の四氏と相識るを得たり。歌の場面幾度も繰返し練習するを見る。最終場面の演出試行錯誤、暗中模索、俳優諸子の疲勞限界に達しながらも弱音を吐く者一人も居らず、稽古終れば早や三更を過ぎぬ。オマール、アレッサンドロ、ジャン・バプティストと倶にカチカチ山にて晩き夕餉を食す。別莊にかへれば深夜十二時過なり。睡眠劑を服して寢に就く。

2011年6月23日(木)

パンズ・ラビリンス

拂曉火災報知機のけたゝましき警報音に睡を破らる。案頭の時計を見るに四時半なり。倉皇としてベランダに出でゝ周圍を窺へど火元らしきものなし。近隣の住民もベランダより中庭をぼんやり眺むるばかり。半時ほどして警備會社社員來るも原因不明、恐らく誤作動なるべし。今年二度目なり。幸にして再び眠ることを得たり。七時半起出づ。隂。大學に出かけむと駐車塲に赴き車の發動機を始動せしめんとするに、うんともすんとも言はず。何故か電池完全に放電しぬ。二日前余が運轉せしばかりにて、照明燈電熱噐などの切替裝置を檢するも異常なければ、定めし車の所有者たる父上の粗相ならむ。懷中時計八時四十分を示す。授業開始は九時半なり。車にての所要時間は三十餘分、電車を乘繼げば一時間以上かゝるを以て、本日は已むを得ず休講とする外なしと諦め、悄然と家に戻りて大學敎務課に電話かけむとするに、慈君書斎に走り來りて余に二萬圓を手渡し、タキシ自働車を倩ひて出勤されたしと云はる。早速K社に電話し、待つこと十分ばかり、タキシ到着す。八時五十五分なり。百十五號線を南進し豐田學舍に向ふ。途次遲きこと龜の如き輕自動車に行く手を阻まれしが、その後は快調に走り、始業五分前に到着するを得たり。運賃五千圓。九時半何食はぬ顏して八號舘の敎室に入り、映畫鑒賞會二囘目を開催す。パンズ・ラビリンス後半なり。學生諸氏固唾を呑みて畫面に見入りたり。終映後感想文を書かしむ。結末を豫想し得たる者一人もなし。もう一度見たしと述べる者尠からず。演技美術脚本を絶贊する者もまた多し。一時過貝津驛に赴き愛知環状鐡道に乘る。慈君移動電話より電子郵件を送られ、電池切れの顚末を語らる。案の定父上の粗忽によるものと判明せり。曰く、月曜日父上自ら運轉して超級市塲Aに行き、立體駐車塲に車をとめ車内の荷物を動かさむとせし時車内薄暗ければ室内燈をともし、そのまゝ消し忘れたり。八草にて東部丘陵線リニモに乘換ふ。驛前の本屋に立寄り週刊現代七月二日號を購ふ。佐々木孝先生の南相馬市取材記事を讀まむがためなり。二時過歸家。父上早くも新しき自動車用發電機を購入せらる。

2011年6月22日(水)

鷄魚

薄く曇りて風なく溽暑甚し。坐ながらにして汗流るゝばかりなり。藝術劇塲S氏と電子郵件にて商議。筆とるも感興來らず。燈刻T氏來宅、本日の釣果なりとて鷄魚いさき四尾鰺五尾鯖二尾を饋らる。夕餉に鷄魚の刺身を食す。微熱相變らず三十七度臺。夜に入りて微雨あり。書斎あまりに蒸暑ければ納戸より扇風機を出す。此日夏至。

2011年6月21日(火)

薔薇

曇天。倦怠感甚しく、起出づれば日は將に午ならむとす。二時過セブンイレブンにて竹本幹夫譯注角川ソフィア文庫版世阿弥風姿花伝を受取る。三時主治醫を訪ひ診察を請ふ。倦怠感の療治にドグマチール追加處方せらる。家にかへり假睡一時間ばかり。NさんSさんとの會食の約あれば、六時過地下鐡驛に行き、驛前の書店に立寄り週刊讀書人を購ふ。一面二面の柄谷行人取材記事を讀まむがためなり。車中風姿花伝を讀む。現代語譯解説ともに充實、久振りに讀書の愉しみを味はひ氣分稍快方に向ふ。七時名古屋湯驛傍のバル・イスパニヤに赴く。店内滿席。NさんSさん既に來りて在り。縣立大學時代の西班牙語應用の受講生なり。應用の授業は受講生この二名のみにて、寔に贅澤なる授業なりき。八年ぶりの再會に歡晤時の移るを忘る。Nさん小櫻鸚哥を飼ひ始めたり。Sさんヨルダン新婚旅行の土産話を語らる。別れ際黄色き薔薇の花束を贈らる。色は余が嘗て飼ひゐたりしセキセイ鸚哥レモンに因みたる由。僅か一年間の第二外國語の授業にて相識りし學生八年を經て猶余を忘れず會食に誘はる、誰か之を知りて感激せざらむや。家に歸れば深夜十二時なり。赤き半月東の空に泛ぶを見る。

2011年6月20日(月)

臥蓐

細雨糸の如し。倦怠感甚しく終日臥蓐に在り。志ん生の落語文違い風呂敷五人廻し半分垢幾代餅など聽く。

2011年6月19日(日)

雨音

どんよりと曇りて風なく濕氣甚し。階前の夏椿咲き初めしが風雨にて半ば落ちたり。書斎寢室の塵を拂ふ。サンデー・ソングブックに雨の歌特輯を聽く。竹内まりや戀の嵐と山下達郎スプリンクラーの雨音は六本木ソニーのスタジオに適山下氏が發見せし太田裕美ライブ素材より流用せしものなりといふ。枕頭志ん生の落語大工調べ猫の茶碗權兵衞狸を聽く。

2011年6月18日(土)

奥村さんのお茄子

曇天。午後より微雨降りてはまた歇む。微熱下がらず。氣分すぐれず終日何事をもなさず。只寢つ起きつして夜を待つ。枕頭高野文子棒がいっぽんを讀む。美しき町、バスで四時に、奥村さんのお茄子いつ讀みても佳なり。繪の巧さは言ふに及ばず、縱横無盡の視點、文章は簡明にして一點の虚飾なし、唯只感服す。

2011年6月17日(金)

協力終了

曇天。食堂に向ふにセキセイ鸚哥アサリ君とこ/\と床を歩みて余の足下に來る。何かの拍子に籠より落下せしものと見ゆ。生來發育よからず風切羽僅一本のみ生えてはまた拔け、自力で籠に戻ること能はず。手を差伸ぶるに素直に指に乘り、そのまゝ姑く鎭座するなり。事務所より制作協力終了のことにつき承諾の傳真屆く。肩の荷少し下りる心地せしが氣分猶爽ならず。執筆二枚。午睡二時間。夕食の後早く寢に就く。

2011年6月16日(木)

映畫鑒賞會

曇天。頃日氣温高からず過ごしやすし。今週は平常授業をやめ六月恆例映畫鑒賞會とし、學生と活動寫眞パンズ・ラビリンス前半を觀る。出缺確認を兼ねて感想文を書かしむ。グロいと書く學生多し。殺人場面は正視に耐えぬが早く後半を見たしといふ者尠からず。物語の結末全く豫想つかずと告白する者も多し。脚本家の手柄なり。この映畫を嘗て一度見たりし女子學生この日はじめて西班牙語の單語幾つか聽取り感動したる由。午後より雨となる。家にかへるに身體火照り、體温ふたゝび三十七度臺に達す。晡時假睡。

2011年6月15日(水)

プエルトリコ

曇天。野田秀樹柄本明紫綬褒章。飜譯とりあへず藝術劇塲に送る。米國オバマ大統領ケネディ以來五十年ぶりにプエルトリコ公式訪問す。自治領存續、州昇格、獨立の選擇肢については地元住民の決定に從ふと明言す。畫期的なる發言なり。

2011年6月14日(火)

無理難題

半陰半晴。藝術劇場N氏より飜譯督促の電子郵件あり。西班牙語の上演臺本決定稿を余の許に送來りしは先週土曜日なり。僅三日にして催促をなす。無理難題とはこのことなり。午後とりあへず日本人俳優の臺詞のみ譯出し、Word 文件と PDF 文件に變換して送る。竟日飜譯。燈刻微熱あり。初更如何にかボリバル最後の臺詞を譯し終はる。今夏はじめてアイスクリームを食す。疲勞困憊、倒れこむやうに榻に横はり、枕上志ん生の落語黄金餠品川心中を聽く。

2011年6月13日(月)

猫の手も借りたし

晴。飜譯餘事なし。下痢。夕食後精根盡き果て、早く寢に就く。枕頭五代目古今亭志ん生の落語文七元結藁人形らくだを聽く。

2011年6月12日(日)

發作

夜半死の發作に襲はる。隂。飜譯終日。夜に入りて雨聲を聞く。

2011年6月11日(土)

決定稿

惡夢に襲はる。災後早や三ヶ月は經ちぬ。鶴首して待ち望みし上演臺本決定稿漸く屆く。終日飜譯。本年始めて西瓜を食す。

2011年6月10日(金)

書翰

薄く晴れし空午後に至り驟にかきくもる。濕氣多く坐ながらにして汗流るゝばかりなり。微熱下がらず倦怠甚し。仕事手につかず。徒に煩悶懊惱するは余の惡癖なり。兼ねてより覺悟せしことながら憂悶に堪へざれば、斷腸の思ひで長文の書翰をしたゝめ速達郵便を以て送る。十一年の恩義忘るべからず。初更雨ふる。

2011年6月9日(木)

自律神經失調

輕陰。平常授業。來週の豫告をするに學生歡呼の聲をあぐ。溽暑甚しく手巾扇子片時たりとも手放せず。扇子はクリスティーナ・オヨス氏直筆署名入の品なり。役場に立寄り町民税縣民税を納む。授業二ツ終れば發汗衣を霑す。二時家に歸る。體温三十七度臺。自律神經失調早や六週間に及べり。靜坐することさへ堪へがたき程なれば榻に臥して假睡す。初更ドラッグストアに赴き今夏初めてコカ・コーラ ゼロを購ふ。一本八十八圓。八日頃とおぼしき弦月南の中空に照り渡るを見る。

2011年6月8日(水)

電子書籍

晴。飜譯餘事なし。漸く感興來りて筆大に進みたり。午後書店に赴き群像新潮すばる七月號を購ふ。枕頭群像に大江健三郎星野智幸對談、青山真治蓮實重彦對談、高橋源一郎連載小説日本文學盛衰史を讀む。新潮に星野智幸岡田利規對談を讀む。群像文藝誌として初めて今月電子書籍を創刊、まづ中旬に六月號、下旬に七月號を公開する由。電腦にて讀むには iTunes なる軟件が不可缺なる由。余は以前より雜誌の論文記事など影像掃描器スキャナーにて電腦に取込み、私家版電子書籍をつくり來れり。思ふに文藝誌も遲かれ早かれ電子書籍が主流となるべし。米國アマゾンにては先月十九日電子書籍の賣上紙媒體の賣上を超えたり。

2011年6月7日(火)

日本陰陽暦日對照表

隂。風濕氣を帶びて冷なり。神保町古書かんたんむより加唐與三郎編日本陰陽暦日對照表上下卷屆く。西暦四四五年允恭天皇の時代より一八七二明治五年までのユリウス暦グレゴリオ暦陰暦を日毎に記したる年表ならぬ日表なり。五千五百圓也。早速天正大地震の日附を閲す。西暦一五八六年一月十八日は天正十三年十一月二十九日、一目瞭然たり。中公文庫版完譯フロイス日本史第十二卷々末の洋暦邦暦の正しきを確認し得たり。午後主治醫を訪ひ診察を請ふ。心身稍恢復の兆あればドグマチールとウインタミンの處方終る。微熱一個月餘に及ぶは自律神經失調の故ならむとて漢方藥を處方せらる。ツムラ補中益氣湯エキス顆粒といふものなり。歸途あぐりん村ござらっせに立寄りアロエベラ茶を購ふ。背景音樂にトレメローズ Silence Is Goldenの流るゝを聽く。晡下筆とるも感興來らず。微熱相變はらず三十七度臺なり。

2011年6月6日(月)

Rafael Nadal

晴れて暑し。氣温攝氏二十九度に達す。D君電子郵件を送來る。親に移動電話を買與へられしを以てなり。飜譯余事なし。微熱ふたゝび上がる。河原鶸のチリヽヽ、ピリヽヽと鳴きて頭上を飛びゆくさま愛すべし。ラファエル・ナダル宿敵ロジャー・フェデラーを三對一にて退け全佛オープン優勝を果す。初更西班牙の映畫製作者R氏電子郵件を送來る。好企畫なれば助力のことを快諾せり。

2011年6月5日(日)

溽蒸

どんよりと曇りし空雨ともならで暮れたり。湿気多く坐ながらにして汗じめ/\と湧出づ。書斎睡房の塵を掃ふ。圖書館に赴き資料を借る。二更微雨。

2011年6月4日(土)

放談

朝の中より薄く曇りて風涼し。雜誌原稾六枚書き編輯長に送る。書架を整理す。十年前の東京かわら版に灘康次白山雅一あした順子ひろし放談を影像掃描器にて電腦にとりこみ電子書籍となす。平成九年東京ボーイズの聞き語りを讀まんとて書架をさぐれど見當らず。

2011年6月3日(金)

原発禍と思索家

半陰半晴。戲曲飜譯を始める。當初は抄譯の筈なりしが今朝N氏電子郵件を送來りて曰く、演出家の需により全編譯出せられたしと。微熱少しく下がりしが心地猶爽ならず。倦怠甚しく、晝餔の後被を擁して臥す。寤むれば五時半なり。昨二日附朝日新聞夕刊に浜田陽太郎論説委員「窓 論説委員室から」なるコラムにてテイボー先生こと佐々木孝先生が私家本モノディアロゴスを紹介せらる。我が家は中日新聞なればS子に頼みて當該コラムを傳真にて送らしめたり。原發禍と思索家といふ題の小文なり。認知症の令閨に不思議なる勇氣と落着きをもらふ、政府は南相馬市を緊急時避難準備區域とし要介護者の出入りを自粛せしむ、これ即令閨を邪魔物扱ひにするに等しきことなりと。自分の眼で見、自分の頭で考へ、自分の心で感じよと結ばるる。これイマヌエル・カントの説くところと同じなり。直に影像掃描器スキャナーにて電腦に取込み、PDFファイルに變換し、テキストに起してテイボー先生に送る。先生宅は夕刊の配達されざる地域なるを以てなり。この日大阪府議會府下の公立學校行事にて敎職員に國歌齋唱時の起立を義務づける條例案可決せらる。議會の網站に議案概要を讀む。趣旨幼稚拙劣讀むに堪へず。あまりに馬鹿馬鹿しく感じたれば之を記し置くのみ。思ふに當世の政治家はいづれも單細胞なること原生動物の如し。

提案理由

國旗及び國歌に關する法律、敎育基本法及び學習指導要領の趣旨を踏まえ、府の施設における國旗の掲揚及び敎職員による國歌の齋唱について定めることにより、府民とりわけ次代を擔う子どもが傳統と文化を尊重し、それらを育んできた我が國と郷土を愛する意識の高揚に資するとともに、他國を尊重し、國際社會の平和と發展に寄與する態度を養うこと竝びに府立學校及び府内の市町村立學校における服務規律の嚴格化を圖るため、條例を制定しやうとするものである。

議案提出者
青野剛暁大阪維新の會副政務調査會長
東徹大阪維新の會副幹事長
岩木均大阪維新の會副幹事長
上島一彦大阪維新の會幹事
浦野靖人大阪維新の會副幹事長
大橋一功大阪維新の會政務調査會長
久谷眞敬大阪維新の會幹事
鈴木憲大阪維新の會幹事
土井達也大阪維新の會幹事
中野隆司大阪維新の會幹事
西惠司大阪維新の會幹事
松井一郎大阪維新の會幹事長
宮本一孝大阪維新の會副政務調査會長
横倉廉幸大阪維新の會幹事
採決
賛成 反対
大阪維新の會公明黨
無所屬クラブ自民黨
みんなの黨府民會議民主黨
 共産黨
 府民クラブ

2011年6月2日(木)

狹量

惡夢に襲はる。陰雨空濛たり。午前授業。小試驗を行ふ。氣温攝氏十六度と低かりしが濕氣甚し汗出でゝ堪難し。手巾手放せず。二時前歸宅。中越にて震度五強の地震あり。自民公明たちあがれ日本三黨による菅内閣不信任決議案反對多數にて否決。國難の最中政爭にうつゝを拔かす野黨の狹量時代錯誤の極みなり。先月この方新聞紙の記事は日を追ふに從つて益甚しく人をして絶望憤慨せしむ。氣概あることを世に示すは東京新聞のみなり。桌上の暦を見るに、昭和二十九年この日ソビエト連邦にて世界初の原發送電開始せられし由。

2011年6月1日(水)

平常心ブラザーズ

舊四月卅日。雨。體温依然として三十七度臺。微熱は長きも一二週間とはつゞくものなきに、此度は一箇月たちても下がらず。倦怠疲勞甚し。明日西班牙國セビーリャ市ロシーオ・フラード公會堂にて開催の豫定なりし東日本大震災慈譱演奏會 Flamencos por Japón 突如延期せらる。開催日未定なれど今月中の見込なる由。Facebook にて知るを得たり。宮沢章夫やついいちろうの平常心ブラザーズ緊急再結成の報に快哉を叫ぶ。