抑鬱亭日乘

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2009年9月30日(水)

恢復の兆し

朝來秋雨蕭々。レメロンの效驗にや氣分少しくよければ朝飯の後机に向ふ。四五枚書き得たり。燈刻B印刷N氏早くも校正刷を送らる。

2009年9月29日(火)

レメロン

目覺めてまた一日が始まるかと思ふや忽ち氣塞ぎて溜息ばかりつけり。午後主治醫に診察を請ふ。今月認可されしばかりのレメロンといふ新藥を處方せらる。別の製藥會社にてはリフレックスといふ名稱で製造せらるる由。テトラミドに類する四環系抗鬱藥なりといふ。余がテトラミドを飮みたりしは早や十年前の昔とはなれり。

2009年9月28日(月)

曇天。二時頃微雨あり涼風頓に生ず。忽ち鳧の鳴聲を聞く。午後強ひて筆をとるも一枚ほど書きて已む。

2009年9月27日(日)

慰藉

秋の日薄く曇りてしづかなり。病況依然たり。治療を始めて十年を過ぎたる今日、再び長期に渡る欝を病むたび/\腹立たしくなりて己を怨むことあり。されど平常氣随氣儘の身を思返して聊か慰めとなす。大相撲秋場所千龝樂、横綱対決は朝青龍が白鵬をすくひ投げにて土俵に転がし二十四回目の優勝を果す。

2009年9月26日(土)

栗飯

晴。早朝水道業者來りて洗面風呂場の點檢を行ふ。今日も秋暑攝氏三十度に昇る。彼岸過とも思はれず。今年は一度も大風襲來せず。燈刻に至りて遽に溽暑を催す。輕き頭痛を覺ゆ。夕餉に栗飯を食す。

2009年9月25日(金)

限度額

晴れて日の光強烈盛夏に劣らず。西南の風つよし。公演雜務に追はるゝ。旅行代理店業務のつゞきを行ひたしと思ひしが、信用卡の利用限度額を超えて叶はず。殘りは本職に委ねることゝなせり。

2009年9月24日(木)

始業

昨日は攝氏二十五六度なりしが今日は三十度の暑さなり。俚諺に暑さ寒さも彼岸迄といふ事ありしが、氣候險惡となり今は古き諺も役には立たぬやうになりぬ。中京大學後期始業。病を冒して出勤す。一限の途中で聲嗄れ、二限後半に至りて氣力遽に衰へしが、辛くも最後まで授業を行ひたり。理髪舗に立寄り散髮してかへる。午後飜譯餘事なし。テイボー先生自著病室からを贈らる。旅行代理店業務に惡戰苦鬪すれば忽ち初更なり。

2009年9月23日(水)

採點

陰。倦怠甚しく頭重苦し。病を冒して前期試驗の採點を行ふ。夕食後直に寢に就けり。この日秋分。

2009年9月22日(火)

養生

朝の中小雨ふりゐたりしが直に霽る。終日家に在り。病を養ふ。入浴する氣力體力なし。

2009年9月21日(月)

不快

半陰半晴。頭重苦しく不快この上なし。気塞ぎて早や三週間は過ぎぬ。睡眠剤を飲むこと毎夜の如し。この日敬老の日。

2009年9月20日(日)

ONの時代

秋暑猶去らず。彼岸の入。臥褥に在りてNHKスペシャル王貞治長嶋茂雄特輯第一回を見る。長嶋自らを良い選手に非ずと評し、王もまた努力の人といふ世評を虚像なりとて一蹴す。

2009年9月19日(土)

シルバーウィーク

晴。抑鬱感少しく薄らぎたり。巷はシルバーウィークなりとて五連休といふ。曾て映画業界勤勞感謝の日前後にシルバーウィークを設けしことあり。成瀬巳喜男流れる公開されたりしは昭和三十一年十一月二十日のことなり。

2009年9月18日(金)

業務開始

曇りて殘暑少しく退く。精神稍回復せり。午下やまとの湯に赴き露天風呂に憩ふ。女性專用岩盤浴の店いつか鍼灸院となり、瀬港線の回轉壽司屋は潰れて半分駐車場、半分空地となれり。歸途ペットのカトウに立寄りアサリの好物プラスグリンフードを購ふ。事務所の需により旅行代理店業務を行ふ。

2009年9月17日(木)

意氣銷沈

早朝より東北の風烈し。夜に入りて風歇む。記すべきこと無し。

2009年9月16日(水)

鳩山内閣

快晴。ベランダの縁臺に腰かけて烟草を喫し朝日を拜む。殘暑猶熾なれど朝晩新寒脉々たり。ルジオミールの副作用なるにや精神明瞭ならず。然れど氣分稍よし。午前強いて筆を秉る。午後病臥。終日門を出でず。この日鳩山内閣誕生。六時記者會見にて鳩山由紀夫首相記者の質問を書留めながら應ずるを見る。官僚の作文代讀の惡弊一掃せんとするは喜ぶべき事なり。

2009年9月15日(火)

増量

朝より空くもりて小雨歇みてはまた降る。されど傘さすほどにもあらず。パトリック・スウェイジの訃に接す。享年五十八。午前母上を伴ひ買物をなす。午後主治醫に診察を請ふ。ルジオミール増量せらる。晩間強いて筆を秉る。毎夜眠ること能はず。睡眠劑を飮みて初て眠ることを得るなり。それも熟睡するにはあらず一二時間にして覺む。此くの如き状態月初より今に至つて變ることなし。

2009年9月14日(月)

二百本安打

晴。風俄に寒く晩秋の如し。朝食後イチロー對アスレチックス戰ダブルヘッダー第二戰第二打席にて内野安打を放ち、九年連續二百本安打の大リーグ新記録を樹立す。倦怠如何ともすること能はず、困臥してふと寤むれば日は晡となりぬ。

2009年9月13日(日)

慰め

半陰半晴。今日も臥牀に在り。食事中アサリと戯るゝを唯一の慰めとなす。髙橋孫左右衛門の瑠璃飴を食す。

2009年9月12日(土)

生ける屍

雨終日小止もなく降りつゞきたり。風亦冷。倦怠甚しく食慾頓に減ず。終日臥褥に在り。

2009年9月11日(金)

極度の倦怠

陰。倦怠極度に達せしが如し。朝夕のわかちなく眠氣を催し支ふること能はざるなり。怪しむべきは健康の頽廢かくの如くになるに食慾のみ猶平生に異らざることなり。

2009年9月10日(木)

苦心惨澹

快晴の空午後にいたりて鱗雲廣がる。週末は雨なるべし。日中は攝氏三十度に昇れど朝夕の寒さ袷あらば着たきほどなり。苦心慘澹の末草稿四五枚をつくる。

2009年9月9日(水)

鱗雲

晴れて風寒し。ルジオミールの效驗にや焦燥感失せて精神少しく爽快なるを覺ゆ。然れど筆を秉るも感興索然たり。鱗雲の東に棚引くを眺む。

2009年9月8日(火)

ルジオミール

快晴。殘暑猶盛なり。日中寒暑計攝氏三十四度に昇る。午後主治醫を訪ひ診察を乞ふ。焦燥感甚しきを訴へるにルジオミール10mgを處方せらる。以前この藥を飮みしは何時の事なりしにや。家にかへりて日録を讀返し、平成十二年一月と判明せり。早や九年の昔とはなれり。燈刻西北の風吹きすさみて俄に寒し。草稿一篇を書き得たり。

2009年9月7日(月)

暗澹

半陰半晴。やまとの湯露天風呂に浴すも氣分晴れず。記すべき亊なし。前途頗暗澹、愁眉をひらくこと能はざる境涯に陷りたるが如し。夕食後突然胃に奇異なる痛を覺え氣分頓にあしくなりしが須臾にして歇む。

2009年9月6日(日)

退嬰

薄く晴れて淋しき日なり。心枯れて活力殆消磨したる状態なり。終日睡をむさぼる。

2009年9月5日(土)

無爲

半陰半晴。筆を秉らむと思ひしが氣力消耗何亊をもなす能はず。悲しむべきなり。終日睡眠を催す。滿月雲間に紅く浮ぶを見るも空し。

2009年9月4日(金)

腑拔

日脚際立ちて短くなりぬ。六時を過ぐれば書窓暗澹たり。今日も何事をもなす能はず、終日睡をむさぼる。六月の高野山公演以來腑拔になりたるが如し。

2009年9月3日(木)

懦弱

曇天。門前の欅色づき初めたり。午睡を催し日の傾くを知らず。讀書も心のまゝならず、筆を持つことはこの日録を記すがせい/″\にして、草藁をつくるが如き事は早や思も寄らぬことになりぬ。いかに悲しむもせんすべなし。

2009年9月2日(水)

憂悶

くもりて雲行穩かならず。先月下旬より心倦み疲れて何事をもなすこと能はず。讀書する氣力もなし。たゞ寐つ起きつして日を暮らすのみ。鬱惡化の兆候といふべきにや。

2009年9月1日(火)

懶惰

陰晴不定。舊七月十三日。執筆の氣力消磨し心鬱々として樂しまず。夕刻まで眠を貪れり。