抑鬱亭日乘

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2008年7月31日(木)

思考鈍磨

目覺めるや倦怠甚しく机に凭ること能はず。朝飯を食ひまた眠りぬ。雨來らむとして來らず。午下役場に國民健康保險料を納め主治醫のカウンセリングと診察を請ふ。思考鈍磨し質問に荅ふること殆能はず。アナフラニール増量さる。意氣消沈して歸宅しまた眠る。

2008年7月30日(水)

firebug

蝉聲雨のごとし。暑氣稍忍びやすし。用ゐて公式網站(サイト)を更新す。Firefox のアドオン firebug 頗る重寳なり。マリナーズのイチロー對レッドソックス戰にて日米通算三千本安打逹成。吾國の新聞は大書して報ずるもシアトル・タイムズは僅數行にて觸れるのみ。

2008年7月29日(火)

處分

晴れて風さはやかなり。昨風雨の後蝉の聲盛になりぬ。倦怠疲勞甚し。半日臥褥に在り。連載の草稿をつくる。僅二三枚に一週間を費やしぬ。晩間使ひ古したる長椅子三脚を處分す。室蘭にて購入したるものなれば十有餘年の月日は過ぎ去りぬ。

2008年7月28日(月)

字通

朝飯を食ひ煙草を喫するに、晴れわたりし空驟(にはか)にかきくもり、暗雲低く宛ら高山に在るが如し。突風砂塵を卷き四鄰の住人慌てゝ洗濯物を取込む。雹ふり、須臾にして吹降りとなる。涼味襲ふが如し。書窗黯澹北海道の冬に似たり。滋賀縣野洲市の古書店かっぱ堂より白川静字通屆く。定價弐萬參千圓が壱萬四千九百九拾九圓なり。この日大瀧詠一還暦の誕辰なり。

2008年7月27日(日)

蚤起し農協グリーンセンターに買出しに行く。西瓜一玉七百圓、無花果二個弐百弐拾圓。紫蘇なし。時節は既に去りしなるべし。秀丸エディタマクロの修正に半日を消す。三時過ぎ空俄にかきくもり遠雷ひゞく。雹ふり、待望の雨となる。心喜び勇むこと限りなくベランダに出づるに、裏手の夫婦もまたベランダに佇み雨を眺むるなり。涼風炎暑を洗去る。金沢森八の宝達葛を食す。美味なり。ユーセフ・シャヒーン死去。行年八十二。

2008年7月26日(土)

夕立戀し

蚤起。酷熱犯罪的といふべし。七月中かくの如き暑さ近年覺えざることなり。町内三十六度、名古屋三十七度を超ゆ。最低氣温二十七度を下らざること連夜の如し。ジャストシステムの網站(サイト)にて ATOK2008 を購ふ。

2008年7月25日(金)

玉蜀黍

雲多く浮びて風なく酷暑退かず。攝氏三十六度。町内産の玉蜀黍を燒いて食ふ。北海道産に比すれば小振りなれど存外甘し。窗外蕨餅賣の聲きこゆ。

2008年7月24日(木)

ノミネート

蚤起しテレヴィのニュースをみるに未明岩手縣にて震度六強の地震ありといふ。近年東北中越に大地震多し。怪しむべし。けふも炎熱頭痛を催すばかりなり。前期試験を行ふ。歸途理髮舗に立寄る。依頼原稿執筆して一時半ほど午睡を試む。夕餉に鰻を食す。土用の丑の日なり。母上の話に、午過ぎに近鄰の商舗前にて鰻を燒きゐたりし男の顔みる/\うちに蒼褪め昏倒せりといふ。熱中症なるべし。炎天下鰻を燒くも命懸けなり。去五月公演越境者朝日舞臺藝術賞候補に選出さる。

2008年7月23日(水)

活力消磨

晴。炎暑聯日。記すべきことなし。

2008年7月22日(火)

神經衰弱

乍晴乍陰。炎暑衰へる氣配なし。神經衰弱甚しく讀書創作共に意の如くならず。手紙の筆をとることも能はず不義理を重ねるばかりなり。この日大暑。

2008年7月21日(月)

難儀

倦怠甚しく起出づるも難儀なり。朝の中風稍涼しかりしが夕刻に至りて酷暑甚し。聯載の原稾二三枚をつくる。

2008年7月20日(日)

代讀

晴れて風なし。案頭の寒暑計攝氏三十六度を示す。午睡わづかに苦熱を忘る。夕刻S子より聯絡あり、此日余の生日なれば東京エフエムのサンデー・ソングブックに端書を送りしかば、山下達郎氏本日午後の放送にて余の名を代讀されたりとの事、一驚を喫す。迂闊にも聞き逃しぬ。氏の番組は昭和五十八年放送開始以來愛聽しゐたりしが、本年は春以降ラヂオへの興味薄れ、耳を傾けしは僅両三回のみなりき。毎回恒例の誕生日祝辞代讀にて余の名が讀まるゝとは夢にも思はざりき。喜び限りなし。

2008年7月19日(土)

酔生夢死

目覚めるに窓外薄明、枕頭の時計を見るに六時半なり。一瞬午前と午後の區別つかず。晴。梅雨の節あける。酷熱燬くが如し。寒暑計三十五度を示す。この日土用に入る。

2008年7月18日(金)

慈雨

干天の慈雨午に至りて晴る。風なし。雨ふれど氣温さほど下らず蒸暑し。アナフラニールの服用量一月半にわたりて勘違ひし定量の半分のみ服用しゐたるに心附く。思考鈍磨の證據なり。けふも終日臥褥に入りて眠を貪る。夕餉の後夕張メロンを食す。

2008年7月17日(木)

増量

軽陰。旬日雨なし。前期最終授業。氣分晴れず。喫煙處にて和装のA先生と閑語。着物は自ら縫製さるといふ。午後主治醫の診察とカウンセリングを乞ふ。心身消磨、醫師の質問に即答能はざること數次に及ぶ。アナフラニール増量さる。この日屆きたる迷惑メール弐萬弐千通を越ゆ。野茂英雄引退表明。

2008年7月16日(水)

鈍磨

思考鈍く原稾草案止む。終日臥牀に在り。

2008年7月15日(火)

温室

乍晴乍陰。溽暑宛ら温室に在るが如し。郵便局に用事を辨じ、眼鏡屋に立寄り先週修繕せしめたる眼鏡を受取る。熱風耐へ難し。拉麺店はせ川いつか廢業し看板を喜樂と改む。Cafe de Campagne も西洋料理店に改築さる。原稾漸く三枚書き得たり。

2008年7月14日(月)

クリスタル・スカルの王國

酷熱益甚し。寒暑計攝氏三十五度に昇る。教務課に所用を辨じ、三好町に赴きスピルバーグが新作活動寫眞インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王國を看る。開巻劈頭プレーリードッグ顔を出すやプレスリーのハウンドドッグ大音聲で鳴り響き、アメリカン・グラフィティに髣髴たり。ジョージ・ルーカスの筆は六十年前後のアメリカ風俗を描く時最も活き活きとするなり。昆蟲の大群は當世の流行に從ひCGにより再現するも實在感に乏し。第一話失はれた聖櫃にては本物の蛇を用ゐたりき。この夜月佳し。大野晋歿。行年八十八。

2008年7月13日(日)

晴。炎熱日に日に盛なり。困憊甚し。此日始めて蝉をきく。NHK總合にウィンブルドン男子決勝フェデラー對ナダル總集篇を見る。最終セットの攻防名勝負なり。

2008年7月12日(土)

打水

炎暑燬くが如し。窗を開けるに熱風吹込む。ヴェランダのアイビーと八手に水を遣る。序でに打水をするも忽ち蒸發せり。今夏始めて書斎の空調を入れ除濕す。電腦のシステム更新に失敗、工場出荷状態復原に半日を費す。

2008年7月11日(金)

輕陰。風なし。終日困臥、生ける屍の如し。

2008年7月10日(木)

眩暈

四時目覺時計鳴るも意識朦朧として身を起すこと能はず。七時過ぎ起床。羈旅の疲勞猶去らず。曇天。濕氣多からず、風乾けるが故案外しのぎ易し。授業前期の復習に費やす。駐車場に向ふに、ベンチに仰向けに寢そべりゐたりし男子學生がばと起き威儀を正して余を呼ぶなり。去年の受講生なれど名前失念す。余は名前を記憶するのが甚だ苦手なり。歸宅して飜譯。輕き目眩を覺ゆ。

2008年7月9日(水)

疲勞困憊

睡眠剤を飮みしが眠ること能はず、昧爽に起き出で原稿執筆。曇りて暑さ忍び易し。十一時小島氏と別れ新幹線のぞみ號にて名古屋に歸る。行程僅三十五分、昨日の椿事夢の如し。午後授業準備するも疲勞して意の如くならず。夕餉の後睡眠剤を服し倒れ込むやうに寐床に入るも再び眠れず、更に一錠飮む。

2008年7月8日(火)

繻子の靴

朝の中雨霏々たりしが雷鳴りて午に近く霽る。雷聲を聞けば黴雨の時節は盡くと言傳る。京都春秋座にて渡邊守章演出ポール・クローデル繻子の靴朗讀オラトリオ鑑賞の約あれば名古屋驛三時十五分發新幹線のぞみ號に乘る。木曾川長良川揖斐川を望み、関ヶ原を過る頃突然緊急停車す。何事なるやと車内放送を待つに車掌曰く、先行列車ひかり號が米原驛で線路に立入つた人と衝撃したゝめ現在運轉を見合はせてをりますと。衝撃したとは初めて耳にする用法なり。車内電光掲示板にも人と列車が衝撃したと赤字で表示さる。鐵道用語なるべし。壞中時計三時四十分を示す。その後も折々車内放送あり、驛員が安全確認を行つてをります、警察と消防車が到着し次第現場檢證を行ひます、運轉再開は線路の安全が確認されてからになります、お急ぎのお客樣には大變ご迷惑をお掛けしますが運轉再開まで時間がかゝります、もう暫くお待ち下さいと繰返すのみ。窗外の民家に母子ヴェランダに佇立しこちらを眺めゐたり。待てど暮らせど進展なく、同行の小島氏とラファエル・ナダルの偉業のことなど雜談に耽る。一時間經ち、警察が到着しましたとやうやく放送あり。點檢のため車内の電氣消え空調も小一時間ほど止りぬ。人いきれで温度急上昇す。窗を手動で開閉できぬは寔に不便なり。米原驛の現場檢證畢り、三キロメートル先に停車したる列車の現場檢證中ですと車掌の説明あり。定めし飛込み自殺なるべし。運轉再開したるは六時に近し。既に開演時刻なり。車内監禁二時間十三分に及びたり。名古屋より京都は通常僅三十五の行程なれど三時間近くかゝりぬ。京都驛にてタキシを倩ひ、鴨川より高野川東岸を走り京都造形藝術大學春秋座に赴く。開演して既に五十分を過て客席に入る。一日目終盤なりき。二日目を聽き十分休憩。渡邊夫人の御招待により三列目中央の席に移動す。第二部三日目四日目。後藤加代、平栗あつみ、小田豊、野村萬斎、野村万作の聲を全身に浴びる。九時半終演。渡邊氏夫妻に挨拶して後、小島氏と乘合自働車にて四条河原町に出でゝ割烹店に晩餐をなす。三更タキシにてホテルに向ふ。

2008年7月7日(月)

Nadal entra en la leyenda

目覺めてエル・パイス紙電子版をみるに、ナダル傳説入り果すの大見出し眼に飛込みたり。ラファエル・ナダル Rafael Nadal 遂に芝生にてフェデラーを破り優勝す。ウィンブルドン決勝史上最長四時間四十八分の死闘なりしといふ。昔日のジョン・マッケンローがビョルン・ボルグを破りし試合を想起す。マッケンロー本人昨日を振返りて曰く、テニス史上最高の試合なりとぞ。マルカ紙も躁状態を呈す。動畫をみるに試合直後ラファは觀客席に走り家族と抱擁して後屋根を傳ひてロイヤルボックスに歩み寄りフェリーペ皇太子レティシア皇太子妃と握手せり。スペイン人アナウンサー笑ひながら、斯の如き振舞ひ許されるは天才ナダルのみなり(Esto solo lo puede hacer un genio como Nadal)と驚きたり。余にとりてもこの上なき喜びなれど心身重苦しきこと聯日の如し。終日臥褥に在りて讀書せんとするも忽ち華胥に遊ぶ。

2008年7月6日(日)

無爲

溽暑依然たり。けふも三十度を超ゆ。終日臥褥にあり。夕刻雷鳴に眠を破らる。驟雨炎暑を洗去る。深夜NHK總合にてウィンブルドン男子シングル決勝ロジャー・フェデラー對ラファエル・ナダルの試合を看る。我らがラファ二セット先取。フェデラーのバックハンドを攻める作戰見事的中、芝の帝王をして苦戰せしむ。低き打點よりトップスピンをかける球の威力に瞠目す。第三セット五對四で優位に立つや雨濺ぎ來りて中斷、時計一時を示す。睡魔に抗せず、斷腸の思ひながらナダルの勝利を予感してテレヴィを消し眠る。

2008年7月5日(土)

炎熱

乍晴乍陰。炎熱いよ/\甚し。寒暑計早くも三十一度を示す。終日臥床に在り。富士貞房先生青銅時代第四十八號を送らる。深更ウィンブルドン女子シングル決勝ウィリアムス姉妹対決生中繼を漫然と見る。ヴィーナス・ウィリアムス五度目の優勝を果す。

2008年7月4日(金)

七夕飾り

曇りて風なし。溽暑甚し。朝の中寒暑計早くも二十九度を示す。終日家に在り。午後横臥し忽ち華胥に遊ぶ。日沒して猶三十三度。鄰家の人軒先に小さなる七夕飾りを置きたり。

2008年7月3日(木)

陰。時々微雨あり。氣温高からざれど蒸暑し。授業の後主治醫の診察とカウンセリングを請ふ。待合室窗外の芝生に椋鳥の子夥し。一齋に飛立ちて後燕の子二羽來りて飛行練習するを見る。歸宅して聯載原稿を書く。四更ラヂオ深夜便に大滝詠一作品集を聽く。

2008年7月2日(水)

博士の異常な愛情

晴れて暑きこと昨の如し。電子郵件を讀み氣落ちす。らせん舘より夏公演の案内屆く。枕上DVDでキューブリックが活動寫眞博士の異常な愛情を看る。いつ看ても佳し。終幕アレクセイ・ド・サデスキーソ連大使を演ずるピーター・ブルがピーター・セラーズの怪演に吹出さんとするを堪へる場面あるを發見す。シモーネ・オルテガ歿。享年八十九。余マドリードに在りし時氏の料理法千八十 1080 recetas de cocina を愛讀したりき。

2008年7月1日(火)

Va por ti Genaro

舊暦五月廿八日。寤むれば既に午に近し。晴れて風爽なり。寒暑計三十度近くを示すも暑氣忍びやすし。中庭に女児シャボン玉を飛ばすをみる。手紙したゝめ買物をなせば日は忽ち暮れむとす。ガソリンまたまた値上、レギュラー壱百六拾六圓なりしを壱百八拾圓となす。ハイオク壱百九拾弐圓。西班牙蹴球代表チーム祝賀集會の様子をネットで見る。マドリード市コロン廣場特設會場にクイーンが We Are The Champion 流れる。群衆の波物凄し。監督ルイス・アラゴネス胴上げさる。假設舞臺に立ちし選手一同白き横斷幕を掲ぐ。Va por ti Genaro と讀めり。過日逝去したる専属醫師ヘナロ・ボラス Genaro Borrás 追悼なり。